非道徳教養講座

 著者:平山夢明
 絵:児嶋都
 発行者:駒井稔
 発行所:株式会社 光文社

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 全国八千万の賢女子の皆様、御機嫌如何で御座いましょうか?脳味噌をドブ川に捨てて流してきたような人間ばかりが総裁となり、なにやらまた新興宗教が肝煎りの政党まで誕生するという、まだ二〇〇〇年も十年とチョットなのに既に世紀末的様相を呈してきている昨今、周囲の経済不況に煽られず、自給自足独立独歩の女道を邁進されておられますでしょうか?金のないのは首のないのと同じじゃ!と昔、父が祖母に罵られていた姿を昨日のことのように思い出せる私が放つ、そんなサバイバル教養講座、今月も開講で御座います。

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 「第1回 賢い男の捨て方」
 「第2回 賢い親の裏切り方」
 「第3回 賢い友の裏切り方」
 「第4回 賢い嘘のつき方」
 「第5回 賢い恩の売り方」
 「第6回 賢いわがままの通し方」
 「第7回 賢い自分の壊れ方」
 「第8回 賢い失望のさせ方」
 「第9回 賢い盆への返し方」
 「第10回 賢い暮らしのタカり方」
 「第11回 賢い会社の使い方」
 「第12回 賢いスッピンの晒し方」
 「第13回 賢い占いの信じ方」
 「第14回 賢い子どもの育て方」
 「第15回 賢い結婚の咲かせ方」

 平山夢明先生の"素敵な淑女になる為"の講座集です。

 これは本当に本当に本当に面白かった!…とは言いましても、何処まで進めていいものやらわからない感じの面白さです。
 本気で「私は世の中に出て『貴女、とても常識があるのね。素敵だわ。』と、言われたいの!」と、いう方にはきっとおすすめしません。
 後、色々と揚げ足を取られたりする事や、心にズキズキ来るような事を言われる事が苦手な方にもおすすめしません。

 自分の欠点を言われても気づかない方が、人の欠点でゲラゲラ笑え、且つ、常識がある方が読まれると、とても面白みが増すんじゃないんでじょうか?つまり…どの回を読んでもゲラゲラと笑ってしまった私はつまりはそういう人間だ…という事ですね。納得。

 でも、ただ単に「面白み」を追求する為に読むのが一番正しいんでしょうけれどね。

 女性の視点から読めた事が凄く嬉しいとも思いました。男性でも面白さは感じるでしょうが(著者自身も男性だし)、女性であればある程に「あー!わかるー!」という所が多すぎる。まさに"非道徳!"

 …なんですが、恐ろしいのは、やたらと納得が出来てしまう事なんです。人としての性格とか感情とかそういうのを全部とっぱらった意見は結構グサグサと来るものがあり、妙な納得で締められてしまう事も…。平山夢明恐るべし。

 文調としては「独白するユニバーサル横メルカトル」と同じような文調で進んでいきます。「です」「ます」「御座います」。この文調だからこそ出る面白さでもないでしょうか?

 挿絵は児嶋都さんが描かれており、この絵も凄く面白い。実際原稿を読まないでタイトルだけで想像して書いただとか。そのフリーダムさがマッチングしてて最高でした。いやーこれはいい。これは非常に良いものを読んだ感が大きいです。平山夢明好きだから余計にですかね。


 ※素直で優しく、人の気持ちに超敏感で「オムライス食べれません〜><」って人には読んで欲しくないですが、其れを読んで自分の今居るポジションを再確認しては欲しいですね。


非道徳教養講座

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