ディスコ探偵水曜日(中)

 著者:舞城王太郎
 発行者:佐藤隆
 発行所:株式会社 新潮社
 2011年2月1日発行

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 ルンババ12に言われてすぐさま作業に取りかかるエンジェルバニーズをよそに、俺は立ちつくしている。
 俺がいたからみんなが…?
 俺のせいでみんなが間違い、俺のせいで名探偵が死んだってことか?
 「まあ気にすんなや。あんたかってあんたの理由で来たんやろうで。間違えたもんが悪いんや」

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 約一ヶ月振りに上巻の続きを読む事にした。本作は「上・中・下」と別れており、頁数は「上<中<下」である。今回読了した中巻でも「485頁」というまずまずの頁数。これが下巻になると「603頁」もあるから少しげんなりする。「新世界より/貴志祐介」も「上・中・下」と結構な冊数があったのだけれど、読みやすさでは群を抜いていたので苦では無かったし、物語としても動きが強かったのでサクサク読み進められたのですが、本作は少し苦手かもしれない。と、いうか実際意味が分からない所が多い。
 名探偵が続々と揃って名推理をしていくんだけれど、凡人(読者)には理解不可能な頭の回転スピードで謎は解かれて行く。それは上巻でもそうだったし、前回の感想(ディスコ探偵水曜日(上) - 55book)でも書いた通り、悩むのは主人公の「ディスコ・ウェンズデイ」だけでいいのだ。
 なので私は訳が分からず読み進める結果になる。きっとそこでたまたま推理を聞いてしまった警備担当の警察官のようなポジションのつもりで。不思議なパインハウスの空間。謎が謎を呼び、答えは謎を解く度増えていく。何故、何故ディスコ・ウエンズデイがいなければならないのか。何故導かれたのか。何故、水星Cが、梢が、パンダ事件が…もう頭の中はぐるぐる。
 …だからといって面白くない訳ではない。舞城作品は改行が結構少なく読み途切れる所を何処にすればいいか迷う事が多い。其れくらい文章の詰まり方も半端ないのだ。そして謎が謎を呼ぶと記したように、推理が半端無く多い。だからついていけずにさらにぐるぐるする。

 けれど、実際問題400頁は一つの事件の推理で埋め尽くされるとダレるものがあるのが事実で、「本を閉じてしまおうか…」と思う事が幾度か。だけれど、此処で閉じてしまうと多分きっと一週間は放置してしまう気がする。そこまでテンションを上げなければならないし、モチベーションを維持しなければならない。それはそれで面倒くさいし推理の内容も忘れてしまいそうだったので一気にガッツリ読んでしまった。

 気になる終わり方で締められた中巻。下巻は別の謎から入るはず。終着点はどこになるのだろう?きっとどの終着点に降り立ってもこの本の答えは"其れ"なのだ、と感じてしまう。そんな感じである。


ディスコ探偵水曜日〈中〉 (新潮文庫)

ディスコ探偵水曜日〈中〉 (新潮文庫)