ミノタウロスの皿

 著者:藤子・F・不二雄
 発行者:鈴木総一朗
 発行所:株式会社 小学館
 1995年8月10日第一刷発行

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 そうか………
 正ちゃんにも子どもがね……

 と、いうことは……
 正ちゃんはもう子どもじゃないってことだな……

 ……
 な……

 「劇画・オバQ」より抜粋

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 「オヤジ・ロック」
 「じじぬき」
 「自分会議」
 「間引き」
 「3万3千平米」
 「劇画・オバQ
 「ドジ田ドジ郎の幸運」
 「T・Mは絶対に」
 「ミノタウロスの皿」
 「一千年後の再会」
 「ヒョンヒョロ」
 「わが子・スーパーマン
 「コロリころげた木の根っ子」

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 藤子・F・不二雄作品はちょろちょろと読んだ事があります、が、やはり子ども向けで其の中にふと戒めがある、そういう強さのある作品だと認識してました。

 本作の感想は一言で言うと「怖い」です。

 妙な納得をしてしまうのは「じじぬき」というお話。甘いものはずっと甘くは無いのです。それを私たちは日常で感じている筈なのにいつも気付かずにふらふらとしてしまう。その怖さにぞくっとしたり。

 「わが子・スーパーマン」は自分が手にするものと自分とのレベル合わせの問題が強く出されている作品。可愛い子どもの笑顔で締められるのですが、それが更に恐怖を誘います。

 表題の「ミノタウロスの皿」はあまりの凄さに読み終わった後笑いが出てしまった位。

 「コロリころげた木の根っ子」なんかはニュースを見ているかのようになる。

 小説は読むのに時間がかかるという人が多いでしょうから漫画なら手を付けやすいと思います。じっくり読んでも1時間〜1時間半程で読み終わるでしょう。
 その1時間〜1時間半。貴重な物を得れる筈です。是非是非に。