ピコーン!

著者:舞城王太郎(原作)青山景(漫画)
発行者:鈴木総一郎
発行所:株式会社小学館
2007年4月1日第一刷発行(検印廃止)

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ああわたしは悲しい。
おまんこから血が
噴き出すほど悲しい。
おまんこから子宮が
飛び出て空中でバンと
破裂しそうなくらい悲しい。

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 2007年第一刷発行だが、私は高校時代(それか卒業してすぐだっただろうか…)にこの作品を読んでいる。実際読んだのは1200円もするこの漫画では無く、IKKIの冊子に付いていた「ピコーン!(内容同)」だからだ(姉の部屋で盗み読みをして衝撃を受けたのが昨日の事のよう)。冊子漫画なのにきちんと文庫本になっていて凄く安心する。嬉しい。

 キーワードとしては「ヤンキー」「同棲」「フェラチオ」である。だが、7年も前の事なので内容が鮮明に思い浮かばずヤキモキしており、Twitterや色んな所で「こういう漫画知らない?」というのを聞いて来たのだが誰も知らず。(探す作業にとりかかる度「フェラチオ」を検索するのにも結構疲れるものである。)青山景自体失礼だがそこまで知れ渡っている漫画家では無いと思う。絵の丁寧さが私は大好きなのだけれど、そこまで単行本も出ていないし書店にも並んでいない気がする。今日、たまたま寄ったビレッジヴァンガード山本直樹の「BLUE」を手に取り、横目にコレを発見して即座に入れ替えてしまった。もっとお財布にお札を入れてくるべきだと後悔している。
 存在を思い出したのは「好き好き大好き超愛してる。/舞城王太郎著」を読んだからだ。読書メーターというwebsiteを使用しており、「舞城王太郎いいよ」という人が周りに結構いるのでどんな本を書かれているのだろうと他の作品を探していると発見したのだ。「ピコーン!」を。よく思い出せたものだ。タイトルがありきたりじゃないからかもしれない。それほど印象強かったのかもしれない。とにかく見つかって歓喜した。

 早速購入して家でまったり読む。懐かしい。懐かしすぎる。そして狂っている。元ヤンの主人公とその彼氏。そして彼氏は喧嘩早くすぐに仕事に行かないなどだらけてしまう。そこで提案するのが「フェラチオ一万本ノック」だ。してもらう代わりに真面目に仕事にも行き、喧嘩もしないという決め事のようなもの。そして其れに乗る主人公。中盤では「フェラチオ大好きっ子」とまで公言してしまうのだが、やはり目に見えての成果や愛情など色々あるのだろう…と。

 感動するハートフルストーリーではないし、舞城王太郎を好む方からしたら「嗚呼、舞城さんらしい」という本らしい。が、私には”舞城さんらしさ”」がわからないので少し困惑。だが、面白い。好きだ、これ。思い出と重なり合わさって美化はきっとされているが好きだ。”私は”。

 この本にはもう1つ物語は入っている。「スクールアタック・シンドローム」。これも舞城王太郎の原作だ。”不可視の「暴力の伝染」”から、自身の息子を救い出す父。…とは言っても一緒に暮らしている訳でも無い様々な事情があるので色んな葛藤があったりする。…耳を噛みちぎって飲み込むのも”舞城さんらしさ”なのだろうか…疑問だ。

 とにかく「ピコーン!」の思い出が強すぎて「スクールアタック・シンドローム」は中々消化出来ない気がする。一応は消化しているのだが、もうちょっと時間を置いたらきっと再読すると、おもう。


ピコーン! (IKKI COMICS)

ピコーン! (IKKI COMICS)