桜庭一樹読書日記-少年になり、本を買うのだ。-

著者:桜庭一樹
発行者:長谷川晋一
発行所:株式会社東京創元社
2007年7月31日第一刷発行

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この世に傑作は存在するが、知らずにその書棚の前をなんども、なんども、なんども、フンフン鼻歌を歌いながら通りすぎてしまうのだ。ばか。俺のばか。いつもの書店の棚にも、それらはまだ埋れているのかもしれない、と思うと、たまらない気持ちになる。で合わないって、おそろしいことだ。

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 お借りした本第一弾。以前から読みたいと思って、いつ買おういつ買おうと思っていたのですが、遊びに行った時に「持って帰ったらいいですよ」の声に惑わされ今、手元にあり、舐め回すように読んでしまいました。「これを読んだらもっと読書したくなりますよ。」の言葉が再度頭に蘇る。確かに…今、実際凄く眠たいのにこのまま眠ってしまってはこの読書欲はどこに行けばいいのかわからなくなってしまう。恋人が横に存在し、夜も更けていい感じになったのにも関わらず眠りこけてしまう位勿体無い。

 結局どの位の時間を費やしたかというと2日半位ですかね。帰りの電車で1ヶ月か2ヶ月分読み、次の日の眼科の待合(確か15分程度)で1ヶ月読み、帰宅してから夜中に3ヶ月読み、今日の夜に残りを読みきったという所。

 桜庭さんは異常な程の読書家とは聞いていたのですが、まさかここまでとは思わなかった!本屋に赴く数が尋常じゃない。本を読まない人がこれを読んだら「私は読書家にはなれない」って思ってしまいそうな位読んでる。働いて稼いだお金の札が全部本の頁になってるんじゃないだろうかと思う位読んでいる。

 これは本気で尊敬せざるを得ない…。

 実に楽しそうに読まれる。そして読んだ本の感想や簡単に記されている所を見ると本当にちゃんと読んでいてヤバい。(当たり前なんだけどコレが大量に本を摂取すると私にはとても難しいのである。)集中力がハンパないのと、何処まで脳にメモリが積んであるんだろうと思う。後は、此処に記されている以上の本をきっと読んでいるだろうから、面白くない本も読まれているだろう。其れでも読書を止めないというのは宝物が隠されているのを知っているからなんですね。抜粋させて頂いた言葉を読んで下さればわかる通りなのですが。

 私はちまちまと本を読む方で、本格的に読書を始めたのは確か高校1年生の頃だった気が。ですが、一番初めに読んだ本は覚えている。小学6年生の頃に親にねだって買ってもらった本は「バーバラ・ハリスの「臨死体験」/バーバラ・ハリス著/立花隆訳」だった筈。我ながら「12歳なのに何でこんな本を…」と思いながらねだった記憶があったり。そこからちまちまと本を読み、漫画禁止だったのを無理矢理姉と脱却。そこから漫画にはまり、高校1年生の頃「ダーク(ハードカバー)/桐野夏生著」をねだるという愚行に働く。(何故愚行かというと「ダーク」は「ミロシリーズ」として有名で言わば”前作”があるのだ。まぁそこから入っても問題は無いのだけれど後から考えると偉く順序を間違った気がしてならない。)帯にはでっかく「40歳になったら死のうと思っている。お前に何が起きた。お前は何をしに来た。」と。コレで中身も見ずにねだる。500頁以上ある重たい本を持ち歩く生活が始まる。きっと凄く変わった子だったろうな…中学生の頃の、高校生の頃の私。…まぁ今でもよく”変わっているよ”と言われるので慣れてしまっているんだけれど。

 そこからちまちまと桐野夏生にはまり、ミステリーにはまり、ゆるりゆるりと読書をし、去年の夏辺りに先程出てきた友人に触発され今に至る。自分としては凄く読んでいる方だと思うし、使ったお金を考えるとゾッとする。(だが、嗜好品のような物だと思うようにしているしそれ以上の満足が得られれば問題等皆無である。)それなのにも関わらず…足りない!と、感じてしまう。この本の魔力は何なのだろう。桜庭さんが「読みたい読みたい!」という気持ちをダイレクトに私たち読者が受けているのか。其れはさすが小説家というべきなのだろうか。…と言っても文章はそこまで小説家っぽくない。ありのままの彼女を見ているようで頬を緩めて読んでしまう。もしかしたら其れが罠なのかもしれない。無邪気さから生まれる欲求を私たちが自然と欲してしまうのかもしれない。策士だ、と、思ったが本人はそんな気きっとないだろうから天然策士という事にしておく。


 とにかく、今は本が読みたい。彼女が薦める本は山程読んだ本の中からのオススメだろうからそれもピックアップしたい所。ちょこちょこチェックをしていたので積み本にでもしようと思う。恐ろしい本だ。魔本だ、魔本。


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